演劇とは舞台という生の時間・空間に一回限りの行為を刻むものです。舞台上で演じられる身体は、
現在性に依拠した劇の思想を体現すると言えます。
そうだとすると、演劇を対象とする研究や批評、すなわち「演劇学」は、つねに生成する「いま・こ
こ」の想像力を分析・批判することになります。演劇学は、現在の意識が切実に問われる学問的領域で
あり、他のアカデミズムとは一線を画した、生きた学問であるのでしょう。
今回の大会のテーマは「現代演劇」です。「現在」を構成するのは、過去の事象やこれまで生産され
てきた芸術的想像力の貯蔵庫です。現代に生きるわたしたちは、過去の事象を過去の時間に閉じ込めて
おくのではなく、つねに眼前の事象として取り出す。そこから歴史的想像力を駆使して、現在を思考す
ることが、今回の大会のテーマとなります。
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